ママチャリ・プロトン at 鵠沼松が岡

鵠沼の秋山サイクル(知る人ぞ知る昭和の自転車業界の陰の立役者、秋山さんがいまでも現役で頑張っていらっしゃる街の自転車屋さんです)に用事があったので自転車で出かけたときのことです。

鵠沼松が岡のあたりは閑静な住宅地で、対向車がすれ違うのもままならない片道一車線の狭い道路が碁盤目状に広がっています。ある角を曲がると、ちょうど前方にママチャリにチャイルドシートをセットして子供たちを乗せたママさんたちのプロトン(!)に合流してしまいました。

ママさん集団は、きっと子供たちと一緒に幼稚園(保育園かな?)から帰宅途中だったのでしょう。世間話に花が咲いて、楽しそうにゆっくりとポタリングを満喫しています。ときには道幅一杯に並走するので、追いついてしまった私はどうにも追い越すことができません。

しまいには私の後ろに自動車の列が形成され、もうほとんどツール・ド・フランス状態です。

この界隈は道が狭いので自動車も徐行していることが多く、ママさんたちのプロトンも見ていてさほど危険な感じはしませんでした。ママさんたちが自転車を漕ぐ姿も堂に入っており、私はむしろ見とれてしまったほどです。後ろに続く自動車の列も特に不穏な動きもなく、静かにママさんたちの動向を見守ります。

結局、ママさんプロトンはとある住宅の玄関前でゴールとなり、後続の私たちは何事もなかったかのようにその場を走り去りました。

秋山さんにこの話をすると、たぶん「だからママチャリはいかん!」となって、話はかつて実在した旧・湘南サイクリングクラブの競争車vsママチャリ論争のエピソードを経由して、お店に飾ってあるZunowのフレームの話に帰結するまでの2時間コースを覚悟しなくてはならないため、今回はだまっていることにしました。

ママチャリは日本で進化してきた自転車のスタイルですし、その性能はなかなかすごいものがあると思います。美学的にはいろいろ言いたいことはありますが、その存在なしでは我が国の自転車は語れないのも事実です。

ママチャリが自動車を従えて走る図は、交通安全的にはどうなのか、マナー的にどうなのか、という議論はあるものの、世間一般における自転車の地位が以前よりも高まっていることを象徴する光景だったように見受けます。なにしろ、この界隈では、ちょっと前までこのような「奥様方」たちは自動車でお子様を送り迎えするのがTPOだったのですから。:-)