ついに決行となりました。悪天候による二度の延期を経て、11月13日にようやく実施された走水アガジベベライド。前回7月に開催した「三浦半島・三崎ライド」に続く、実質的に第二回となります。美味しい水を求めて自転車で放浪することをテーマに掲げたアガジベベ(ポルトガル語で「美味しい水」の意)ライド。今回ようやく本物の湧き水スポットに行き着くことができました。
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当日は曇り空。ときどき太陽が雲間から覗く程度で、サイクリングには最適な天気に恵まれました。折しもAPEC開催中で、この日もオバマ大統領夫人が鎌倉に来るということで、134号線の江ノ島〜鎌倉間は厳戒態勢となっていました。でも自転車だと楽勝ですね。途中の交通規制も何のその。東京から参加の余田さんが遅刻したため、辻堂・江ノ島組は先行するかたちになりました。由比ケ浜の鎌倉海浜公園で鎌倉の塩崎さんと合流し、しばらくすると余田さんもキャッチアップ。今回は総勢5名での旅となりました。
と、ここまで何事もなかったかの記述ですが、実はすでにさまざまなトラブルがここまでで発生していたのでした。まず私の愛車 Panasonic レマイヨ号の後輪スプロケットが前日にお亡くなりになり、代替パーツが間に合わないため代車で翌日のイベントに望むことになったのですが、この代車のサドルが片瀬江ノ島のスタート地点で脱落(!)。自宅に戻り急遽第2の台車に乗り換えるハメになりました。(教訓その1- 自転車のメンテはちゃんとしましょう)
この代車は我らが湘南を代表する自転車メーカーMIYATAさんの往年の名車リッジランナーなんですが、これマウンテンバイクなんですね。しかもタイヤはオフロード用。しかも慌てて乗り換えたため、オイルもささずにスタートしてしまいました。
リッジランナー君はサドルの高さ調整のみで「あ、いい感じでいけそう」と調子に乗っていたのですが、ポジションがまったく合わないために徐々に罰ゲーム状態となります。往路の途中、衣笠のあたりですでに左膝に変調をきたし、皆さんのお荷物状態となってしまいました。その後は私だけスローペース。参加者の皆さん、申し訳ありませんでした。(教訓その2 – オフロード仕様のマウンテンバイクでツーリングはやめましょう)
さて、私に続いて今度は災難が塩崎さんを襲います。葉山を過ぎたあたりで塩崎さんのヘビーデューティー29インチ・バイクが突然ストップ。変速時にチェーンがチェーンステイとチェーンリングの間に挟まってしまったのです。仲間の手持ち工具を使ってなんとか復旧しますが、原因が分からず、再発する不安の中、一行は恐る恐る走水を目指しました。
前述のように、私は衣笠の付近ですでに脱落し、時速10kmほどの異次元走行を続けます。塩崎さんのナビで標高差の一番少ない内陸ルートを辿り、久里浜経由で京急大津に抜けました。大津では坂本龍馬の妻おりょうさんのお墓をお参りした後、東京湾に面した馬堀海岸で海とご対面。このときすでに時刻は13時を回っていました。
空腹時の自転車はツライです。足が止まります。そんなときのためにスニッカーなんかをポケットに入れておくべきなのですが、我々は当然そんな備えをしていません。東京を朝5時に出発したという余田さんは大丈夫なんでしょうか。
それもこれも、走水海岸の「かねよ食堂」で美味しいランチを食べるという本日のメインイベントのためなのです。なんとか14時にかねよ食堂に到着。ちょっと肌寒くなってきたからか、砂浜のテーブル席は我々しかいません。いやあ、なんとかたどり着きました(まだ帰りがあるんですが)。我慢できずにビールを注文して乾杯!
かねよ食堂はカフェなので、軽食メニューも充実しているのですが、食事がとても美味しいんですね。この日は地元で採れた海の幸を盛りつけた魚介丼とお刺身定食を選びました(まあ、無難な選択)。お店のお母様が作ったイカの塩辛やベジタリアン煮付け、シラスピザなんかを次から次へと注文してしまいます。
潮風に当たりながらビールと肴ときたら話も弾みます。そこで余田さんのビックリ証言。「いやあ、今朝走ってくる途中、車に当てられちゃいまして…」なんてこったい、余田さんのデローザが接触事故ですか!
でも余田さん本人も見たところ怪我をしている様子はないですし、彼の愛車デローザ IDOL も無傷のようです。いったい何があったんでしょうか!?(教訓その3 – 事故に遭いやすい日というのがあります。そんな気分の日は無理して自転車に乗るのはやめましょう)
途中から寒くなって屋内に移動したのですが、店内の雰囲気もとても素敵でしたね。音楽ライブやアートイベントなんかもよく開催するそうです。このお店は本当にオススメですよ。
いい気分に浸っていると、いつのまにか時刻は16時近くになっているではないですか! 走水神社の湧き水がサイクリングの目的だったのでは!?
一行は慌ててかねよ食堂を発ちます。幸いにも走水神社は自転車で10分ほどの近所にありました。ついにアガジベベライドの目的である「湧き水」ゲットです。神社内の手水舎に水汲み用のパイプが伸びていて、そこで自分たちが持ってきたボトルに湧き水を移すことができます。塩崎さんなどは3リットルも給水。水は重いですよね。帰り道大丈夫でしょうか。
さて、あたりはもう夕暮れです。暗い中を家路に着くのはつらいですね。自転車だとなおさらです。走水神社での補給を済ませた我々は、急いで帰路につくことにしました。
東京に戻る余田さんとは海沿いの16号線で別れて、鎌倉・江ノ島・辻堂組は三浦半島の内陸部から葉山に向かって走ります。往路とは別ルートで最短距離を行きます。ただしこちらのほうが起伏が激しく、そこそこの山岳コース。ここでもリッジランナーの私は遅れを取ります。それでもなんとか逗子まで戻ってきて、逗子マリーナの木陰で小休止。あともう一息です。
ここで鎌倉に帰る塩崎さんと別れて、私と辻堂組の斉藤さん・和田さんの3人に。滑川を過ぎて、由比ケ浜のあたりに差しかかったところで、本日最後のトラブルが斉藤さんに降り掛かります。膝のトラブルを抱えた私が走りやすいようにと海岸沿いの遊歩道を走行中に、斉藤さんのスペシャライズドの前輪がパンク!路肩の突起物に乗り上げてしまったようです。
パンク修理のため斉藤さんと和田さんはその場に残ることになり、私は一人で家路を急ぎます。というのも、実はこの日19時から用事があったんです。鵠沼海岸で ustream live の放送をやることになっていて、すでにこのときライブ開始まで秒読みの状態。私は死にそうになりながらリッジランナーを駆るのでした。学生時代の体育会の悪夢が脳裏に蘇ってきましたね、このときは。(教訓その4 – サイクリングの日には他の用事をいらないようにしましょう)
結局、パンクから復帰した斉藤さん、和田さんが七里ケ浜の付近で追いついてきて、最後は和田さんが先頭、斉藤さんが最後尾、私が真ん中、という編隊でなんとか鵠沼海岸駅前にゴール! いやあ、かなりの珍道中になってしまいました。
でも、面白かったですね。次回はどこにしましょうか。